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最高裁判所第一小法廷 昭和50年(行ツ)87号 判決

神奈川県逗子市桜山七丁目三番一一号

上告人

馬場数馬

同所同番同号

上告人

馬場道子

同所同番同号

上告人

馬場香苗

右両名訴訟代理人弁護士

馬場数馬

神奈川県横須賀市上町三丁目一番地

被上告人

横須賀税務署長 戸恒東人

右指定代理人

二木良夫

右当事者間の東京高等裁判所昭和四九年(行コ)第六三号所得税更正処分取消請求事件について、同裁判所が昭和五〇年五月二九日言い渡した判決に対し、上告人らから全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人兼上告代理人馬場数馬の上告理由について

上告人馬場数馬の昭和三六年中の雑所得金額を二〇〇〇万円であるとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 岸盛一 裁判官 岸上康夫 裁判官 団藤重光)

(昭和五〇年(行ツ)第八七号 上告人 馬場数馬 外二名)

上告人兼上告代理人馬場数馬の上告理由

原判決(一審判決)は上告人数馬の課税問題が、都筑一江所有地の処分の結果生じたので、都筑剛が上告人と一江の間に立って円満に税金問題を解決しようとした。とし、上告人が本件不動産の処理に対し、何等報酬や手数料支払いの約束をしなかったから、剛は上告人の手助けをしたいという気持で一江を説得し剛が代表取締役をしている会社から上告人に対する顧問料を増額したり、一江を強硬に説得して見舞金として若干の金員を上告人に渡させたが、このことは都筑一江の昭和三八年六月一〇日付内容証明郵便による同人の手取金に消長を及ぼすものではない。而して其の内容証明郵便により、一江は本件土地の売却方を委任するに当て、自己手取金額を指定し、其の余はすべて数馬に任せ合計金六千九百三拾万円を受領したに過ぎないが自己希望通りとなったのでこれ以上の請求をしない旨通知している。右金員以外の金が支払われているのは数馬の領得したことを意味する旨認めている。而して一江と数馬の間に税金問題に関する紛争を生じ、之を円満に解決するため、弟剛が介入し見舞金の支払をすることになった旨判定している。

併しどうして税金問題にからむ両者間の紛争が生じたのか、又之を円満に解決するために都筑剛が介入し自己の代表社員たる会社の上告人に対する顧問料の増額支払を為し、一江が或る数額の金銭を醵出するにいたった理由が、本件土地売買の報酬や手数料の支払約束なかりしため見舞金として支払うにいたった丈けであろうか。

上告人は昭和三八年六月一〇日付回答書を以て都筑一江に宛て真に受渡した金額を通して之を甲第四号証として、提出援用した。

然るに原審は

一、昭和三五年十二月十二日に一江と陳炎山との間に売買予約をした当時に於ては本件の売買代金は支払われていないが故に回答書が真実に反する疑ありとし、

二、右回答書は内容証明でもなく、配達証明もないのに、之が一江に届けられたことの立証がないとし、

右回答書は信じ難いとした。

併し一、に付ては相手方が提出援用する乙六号証の小路益弘の作成した上申書によれば予約成立の昭和三五年十二月十二日以前たる同年十月二十日金二千万円が支払われていることが明かで、右(一)の理由による回答書の成否の判定は明かに間違いである。

而して(二)の理由については文書自体の成否には関係がない。

上告人と都筑一江との間の税金に関する紛争に付剛が介入した動機は何であろうか、都筑一江の売買代金受領の額に相違があればこそ税金に関する紛争が生じ、右相違点があることを剛自身知ったからではなかろうか。

所詮は原判決は了解に苦まざるを得ず茲に理由不備ありと謂わざるを得ない。

以上

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